「成瀬は天下を取りにいく」で成瀬のファンになった人が読む本
前作「成瀬は天下を取りにいく」ですっかり成瀬のファンになってしまったため、セットで買っていたこちらの本をまるで漫画の第2巻をそのまま読み始めるように手に取った。
びわ湖大津観光大使のタスキをかけた成瀬の姿が印象的な表紙。2冊目にはどんな大津愛にあふれたストーリーが展開されるのか、今作の成瀬はどんな目標に向かって進んでいくのか、期待に胸を膨らませながら読み進めた。
成瀬以外の癖強キャラが物語の中心
「成瀬は天下を取りにいく」では、成瀬を中心に成瀬自身の成長や、島崎との友情などがメインストーリーとなっていたが、続編では成瀬とは全く関係のない癖強キャラたちの日常が中心に描かれているのだが、話題の中心はいつも成瀬あかり。という構図になっている。
成瀬以外の登場人物は、成瀬の存在に翻弄されながら生活を送っていく様子が描かれているが、最終的には、自分の中の問題を乗り越え一歩成長した姿を見せてくれる。
一方の成瀬も、成瀬の新たな挑戦プロセスは詳細に書かれてはいないものの、変わらず挑戦を続けて色々なことを実現していく。
物語の中で発生しているトラブルは、本当に些細な日常のトラブルで、それ自体はストーリーに特別面白さなどはないように思えるのだが、この本がなぜ、こんなに気持ちよく、楽しく読み進められるのかを考えたときにあげられるのは、この「人の成長」が描かれているのが大きな要因だとも考えられる。
今後の成瀬は見られるのか
今作で、大学生となった成瀬だが、もし次回作があるとすれば、成瀬あかりの社会人編ということになるかもしれない。
成瀬あかりの挑戦は、年齢なりの挑戦が多かったように思えるが、社会人になった成瀬あかりがどのような挑戦をしていくのかぜひ見てみたい。
ただ、成瀬シリーズは良くも悪くも大津にフォーカスされた作品だったので、成瀬の就職先も大津になる気がしている。
個人的には、都内に出た成瀬も見てみたいものだが、ゆっくり次回作を待ちたいと思う。
漫画「成瀬は天下を取りにいく」
クラゲバンチで漫画が連載されていた。
小説から漫画になったことで、1コマで多くを語る構図がきちんとできており、内容を知ってても面白く読めるし、サクッと読めるのでお勧め。
https://kuragebunch.com/episode/2550689798358821780
作者
宮島未奈
1983年静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒。2021年「ありがとう西武大津店」第20回「女による女のためのR-18文学賞」対象、読者賞、友近賞をトリプル受賞。2023年同作を含む「成瀬は天下を取りに行く」でデビュー、10万部を突破し話題になる。本書はその続編にあたる。